アーティスト特集 第2弾 ドリーム・シアター

第七回

ドリームシアター
SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE』期



楽曲紹介

DISC ONE

1.THE GLASS PRISON(13:52)

ヘヴィなリフから始まり、変拍子で早くなったりと、相変わらず展開がめまぐるしい。ドリームシアターらしい。約14分の大曲ゆえ、めまぐるしい展開にならざるを得ないのは当然ではあるが…。全体としてヘヴィな造りとなっている。一曲が、三章に分かれている。

傾聴したい部分としては、早いリズムの際のマイク・ポートノイ(Ds.)のバス・ドラが小気味良い点である。

2.BLIND FAITH(10:21)

神秘的なギター・フレーズから始まる。その後に、スローテンポな曲が展開される。ギター・アルペジオが堪能できる。2分ほど経過すると、激しさが増し、ギターリフが入り、ラブリエの声も剄烈みを帯びてくる。5分ほど経過して、アップテンポになり、ギターソロとなる。筆者は、7分経過した際のギターソロの出だしがカッコイイ。

個人的には、ドリームシアターとしては凡庸に感じる。ドリームシアター特有の異世界に身を逍遥させるサイコ・デリシャスさが不足している。ただ、ギターの音とリズムが好きな人間にはうってつけだろう。

3.MISUNDERSTOOD(9:34)

サイケデリックな部分がある。アコースティックギターの優しい調べ。少々憂いを感じる。スローテンポ。そこに入ってくる歌メロには不思議な寂寥感、そして倦怠感がある。3分も経過して、エレクトリックなギターのリフが入ってくる。

4分を経過して展開されるギターソロの部分は傾聴に値するだろう。ゲームミュージックなどにでてきそうなリフであり、それは重く、遅く、緊張感を伴っている。魔城にさ迷い込んだが如き雰囲気。ソロの部分もゲームっぽい。後半にも同じリフが繰り返されるが、一度フェード・アウェイさせて、そこにギターによる魔王の断末魔を思わせるサウンドが入る。その後、同じリフがフェード・インしてくる。この有様はまさにゲームミュージックのそれである。

4.THE GREAT DEBATE(13:43)

イントロの部分から、緊張感があるリフが展開される。その楽曲の上に、TVニュースのアナウンスが3分近くに渡って続く。まるでハリウッド映画のそうしたシーンのように不安な気分にさせる。

そこに緊張感のあるラブリエのヴォーカルがのってくる。

7分を経てまた別の緊張感のあるパートが展開される。その緊張感とはまるで、バイオテクノロジーが関わる映画のそれである。筆者などには、ジェームス・キャメロン監督のダーク・エンジェルを想起されてしまう。

9分弱を経てギターソロが続く。11分経過直前のソロ部分が特に良い。

その後、再びある議題(遺伝子操作によるクローン人間の問題)へのエンドレスリサーチが続き、様々な意見が提示される。

5.DISAPPEAR6:46

憂いを孕んだピアノとギターのアンサンブルから始まる。そしてアコースティックギターと憂いを秘めたヴォーカル。全体がこんな感じである。



DISC2

SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE

1.OVERTURE

米国人には、クリスマス番組やなどの曲に聞こえるらしい。日本人である筆者としては、ドラゴン・クエストと洋画番組のオープニング曲を足して割ったような曲に聞こえる。

DISC1でもゲームの話題を出したが、ジョン・ペトルーチ氏(G)は、ゲームも愛好しているという。もしかしたらそうした影響もあるのかも知れない。

ドリームシアターを愛好する方の中には、ゲームマニアの方も多いと言われる。ゲームミュージックのルーツの一つには、そもそもプログレが大きく関わっており、ドリームシアターと起源を同じくするのである。(この事実は、コナミの製作者が語っていたので間違いない)

この曲に限らず、今回の二枚組アルバムは、ハリウッドやブロードウェイ的な曲調、展開がある。ついでながら、ジェームス・ラブリエ氏はブロードウェイからのオファーも受けている。以前からも、オペラなどからの誘いがあった。彼らは、エンターテインメントの本場であるご当地からも高い評価を受けている証左である。

2.About To Crush

イントロのピアノソロからして、またAメロの部分からして良い。サビは言うまでもない。ゆったりとしていて感動的な曲。

3.WAR INSIDE MY HEAD

2分弱の短い曲。ラブリエ氏が声を張り上げている。

4.THE TEST THAT STUMPED THEM ALL

ブリッジ部分でラブリエ氏の裏声のコーラスが秀逸である。全体的にラブリエ氏が激しく歌い上げているナンバー。3分に至る直前のギターソロの出だしも同じく秀逸だ。

5.GOODNIGHT KISS

4曲目の激しさに潤いを与えるが如き心地よい調べ。ささくれの心を優しい夢へと誘う(いざなう)。あなたを甘い夢に誘うサイケデリックな曲である。

ジョーダン・ルーデスのピアノが一番堪能できる曲かも知れない。

6.SOLITALY SHELL

爽やかなアコースティックギターに、シンセで笛のような音を奏でている。清清しさを感じるナンバー。4分を経過して始まるアコースティックギターによるソロ、ピアノソロは必聴である。

7.ABOUT TO CRASH

長調の明るいリフのロックナンバー。前作『Scene From A Memory』に見られた映画的手法が用いられている。それは2曲目のサビが使われている辺りに顕著だ。コンセプトアルバム特有のドラマ性がある。

8.LOSING TIME/GRAND FINALE

キーボードで曲の背景をサポートするスロー・ナンバー。セミ・バラード。感動的だが、個人的にはもっと感動的であってもいい。



歌詞解説

現代における危機的状況についての警鐘が、このアルバムの基本コンセプトである。

THE GLASS PRISON」では、混乱、不安、制御不能、悲しみなどに打ちひしがれているが、道の見えない多くの現代人が抱えている状況を歌詞にしている。それをガラスの監獄と表現している。思い当たる人もいらっしゃるのではないだろうか?

THE GREAT DEBATE」では、クローン人間の問題を扱っている。倫理と科学との衝突。奇しくもこのテーマを扱っている最中に、ブッシュ大統領が幹細胞の研究費にGOサインを出したため、スタジオは騒然としたという。


アルバムの二枚目(SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE)は、同じく現代の危機的状況を扱っている。それを人物に託して、閉塞的状況を歌っている。

主人公の一人である女の子は、できの良い子であり、周囲は皆尊敬していた。毎日頑張っていた。完璧な少女だった。だけど、本当の彼女は泣き出したいだけだった。悲しかったのだ。

彼女は、それを振り切るためにもレースを楽しんだ。レースに勝って高い空を飛んでいる。でも疑問は残る。もし自分が空から落ちた時に、誰がそばにいてくれるのだろう?と。レースに勝っても孤独という障壁からは逃れられない。

他人とうまく関わることのできない子供、心に悩みを抱えているが治療法が見付からない行き場のない気持ち。多かれ少なかれ現代人が抱える悩みの一つだろう。


筆者は、このアルバムをきっかけに、現代人が抱える悩みがあるならば、生き方を考え直してみる良い機会になるのではないかと考える。放っておけば解決されるものではない。ゆえに、目を逸らさずに熟慮して、解決策を講じていくことが豊かな人生を送る事になるだろう。人生には、誰にだって苦しい時はある。そんな時は、ドリーム・シアターの力を借りて乗り切って欲しい。


                                2004年9月akira

   

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