| アーティスト特集 第2弾 ドリーム・シアター 第九回
2005年に通算8枚目のアルバムとなる『OCTAVARIUM(オクタヴァリウム)』がリリースされた。現時点での最新アルバムである。名前の由来には、様々なルーツがあるようだが、8枚目である事、アルバムに8曲収録されている事実“にも”かかっているようだ。 注…オクタとは、オクターブ、オクトパス(蛸)などから分かるように8を表すギリシャ語由来の連結形である。この伝でいくとオクトーバー(10月)が何故10月なのかも疑問である。蛇足ながら、ディセンバー(12月)のディスの部分もデシ・リットルなどからも分かるように10を表す。Xmasというのも10月のミサという意味である(ギリシャ語で表される時計の10時に注目!)。何故か2ヶ月ずれている。何故だろう?これはペトルーチ氏も関心を抱きそうなテーマである。 このアルバムは、ニューヨークにあるHit Factoryというスタジオで行われた。数多のミュージシャンに愛好されてきたこのスタジオだが、ドリームシアターがこのアルバムを完成させたのが最後のお役目となった。閉業となったのである。 通常Hit Factoryのロビーの壁は、何百枚ものプラチナレコードで埋め尽くされている。だが、レコーディングの最中にそれらのレコードは外され、家具も運び出されていったという…。 ジョン氏も奇妙で悲しい思いがしたそうだ。 ここの機材などは素晴らしく、ハイテク機材が整い、最高の環境だった。だが、最近ではHit Factoryのような大きなスタジオではどこも、以前のようなビジネスはやらなくなってきている。これは近年のテクノロジーの発達と関係しよう。 多くのアーティストがホームスタジオを持っており、自宅の設備でレコーディングを行い、トラックをeメールで送信する…。読者の中にも良い設備を持っておられる方がいらしゃるだろう。 こんな状況の中、莫大な料金がかかるスタジオが、レコード会社やアーティスト側から敬遠されるようになってきたのは自然な成り行きだろう。 今回のHit
Factoryでの費用も相当なものだったようで、マイク・ポートノイ氏曰く、スターバックスだけで5000ドルは使ったんじゃないか!と。マンハッタンの中心に位置するスタジオゆえに、駐車料金、食事代、全てが高いのであった。 今回の作品は、よりプログレッシヴな方向性を打ち出している。これはジョン・ペトルーチ氏によると意図的なものであり、メロディックで、かつプログレッシヴ音楽な方針があったそうだ。これが元来のドリームシアターというスタイルである。 前作『TRAIN
OF THOGHT』はヘヴィネスという一つのスタイルを貫き通した作品だった。今回は、そうした面も抽出しつつ、プログレッシヴ寄り、ポップ寄りの研究もした。ドリームシアターが受けてきた様々な影響を上手く混合された…そうした作品だとジョン氏は語る。 1.THE ROOT OF ALL EVEL ヘヴィなリフが曲全般に響いている。メロディに悲哀が漂う。 2.THE ANSWER LIES WITHIN とりとめのないような物悲しいメロディ。冬の枯れ木に、湖畔を眺めている…そんな風景が似合う。 3.THESE WALLS ヘヴィなギターから始まる。ヘヴィネスとプログッシヴネスがうまく混合している。 4.I WALK BESIDE YOU サビの部分の歌メロなど、泣きのメロディである。『IMAGES AND WORDS』の「SURROUNDED」に見られたような感動的なメロディ(特にギターソロの)を彷彿させる。 5.PANIC ATTACK 不思議なベースのイントロ。心地よい。リズム、リフに緊張感が漲っている。サビなのか?ラブリエ氏が妖しく切ない声(笑)を発揮するヴォーカル・パートがあり、非常に良い。ソロの部分の変拍子など絶妙な入り具合である。 6.NEVER ENOUGH イントロで不思議な気持ち。『FALLING INTO INFINITY』に近い感じがある。 7.SACRIFICED SONS 曲中盤のインストゥルの部分でのヘヴィなリフの刻みが心地よい。 8.OCTAVARIUM 24分にも及ぶ大曲。彼等は、この曲を書くときに、ジェネシスやイエスのような曲を作りたいと考えた。昔を思わせるキーボードは狙いまくりであり、イントロなどはピンク・フロイドという。ムーディでダークでミステリアス、ピンク・フロイド特有の雰囲気…。 随分気合が入っているように感じる。24分の大作だが、このアルバムの他の曲より密度が濃いように感じる。長い曲にありがちな大味な作りとなっていない。寧ろ濃い。個人の好き好きもあろうが、このアルバムで一番優れた曲のように思える。 因みに今回は本物のオーケストラが使われている。 40に未だ至っていない彼等。だが、この時点において、既にこれだけの作品を創出している。10年後20年後はどうなってしまうのだろう?期待をかけないわけにはいかない。今後も注視するに値するアーティストである。
2005年10月akira
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