アーティスト特集 第3弾 ハロウィン

第四回

ハロウィン 『MASTER OF THE RINGS』
『THE TIME OF THE OATH』




マイケル・キスクがヴォーカルを辞任した後の1994年、ハロウィンは、キャッスル・コミュニケーションに談判に行き、アンディ・デリスという後任ヴォーカリストを獲得した。彼はヴァイカート(G)の最も好きなバンド“ピンククリーム69”の元メンバーである。

同時にex-ガンマレイのウリ・カッシュも後任のドラムへと編成された。

新たなエネルギーと精神を得て、ハロウィンはシーンに復帰した。1994年 に、『Master Of The Rings』の発表のため、再びトミー・ハンセンと組んだ。このアルバムは発表されて後に高い評価がなされた。『守護神伝』以来、初めてバンド間がうまくいき、同様の方向性を示したものであった。

1995年の3月には、ハロウィンマニアは米国、そして世界中に戻った。バンドの契約が、キャッスルレコード、ロウ・パワーに採用されたためだ。これを記念するためにスペシャルレコードが米国、カナダで発売された。

ちょうどこの頃、悲劇が起こった。インゴ・シュヴィヒテンバーグが列車自殺をしたのだ。この悲劇はハロウィン、前メンバー、そしてファン達を悲しませた。一年後、インゴに捧げるアルバム『The Time Of The Oath』が発表された。

その後、6ヶ月を経ないでライブアルバム『High Live』が発売されている。この頃、前任フロントマン、マイケル・キスクが初ソロ・アルバム『Instant Clarity』を出し、多くの雑誌で賞賛された。このアルバムは、カイ・ハンセン(exハロウィン)とアイアン・メイデンのエイドリアン・スミスのサポートを得て作られている。

1995年に、ガンマレイの『Land Of The Free』 というアルバムが出たが、マイキー(マイケル・キスク)が二曲ほどフィーチャリングしている。ヴァイキー(ヴァイカート)はこのアルバムに賛辞を送り、メディアが作り出した二バンド間の緊張が最早ないと証明された。

二つのアルバムは共に、自殺したインゴについて書かれた曲が含まれているのが特徴だ。


インゴの自殺について

バンド活動がいかに簡単なものではないか…ということが分かる。ドラッグやアルコールに溺れ、最悪の状況に陥る人も多い。人間関係も然りである。バンドなどの活動は、自由業であるため、よく自己管理がなされないとこうした場合になることも多い。

通常の職業の人間でも、酷い状況に陥る人もいる。だが、会社などに時間規制がされているため、自然的に最低限の自己管理が勝手になされたりもする。また、会社などに寄りかかる部分が大きい分、バンドマンより自律性はそれほど求められない(一流は別だが)。

一流のミュージシャンは、日本・海外を問わず自己管理が確りしている場合が多い。キッスのベーシスト、ジーン・シモンズはアルコールやドラッグを忌み嫌っている。作曲家などの管理スケジュールも相当確りしたもののようだ。それはそうである。失敗すれば次から仕事は来ないのであるから。

酒を食らい、ドラッグに溺れても現在に一線にいるアーティストもいる。(オジー・オズボーンなど)恐らく彼等は、日本の青少年達が非行に走って服用するクスリの量とは桁が違うだろう。青少年達は、少ない量で収容され、廃人になったりもしている。故にオジーに代表されるロッカーは尋常な人間ではない一つの証左になる。人気を保つ生命力とも関係するのかもしれない。だが、彼等は死の瀬戸際を何度も往復しており、奇跡的な存在なのである。

バンドで大成しようという方も留意されると良いかと思う。一線にいる人間は、やはり確りしている人間が多いためである。


楽曲解説

『Master of The Rings』

1.IRRITATION

IRRITATIONとは、いらいらさせる事という意味だが、一曲目にハロウィンらしくない曲なのでリスナーはいらいらすると思ってヴァイキーが名付けた。個人的にはハロウィンな感じはする。

2.SOLE SURVIVOR

ヴァイキーとマーカス(B)のことをさす。幾度とメンバー再編成が行われたが、唯一(唯二?)のオリジナルメンバーであるから。

ミドルテンポの典型的メロディックパワーメタル。

4.WHY?

デリスがピンククリーム69在籍時に作った曲。ヴァイキーはそのデモテープを聴いて、ピンククリーム69の中で一番気に入っていたという。何故かピンククリーム69では使われなかったため、ハロウィンで採用された。イントロのリフのギター、キーボードがサイコデリシャスで、意識を異世界に運んでくれる。

7.THE GAME IS ON

非常にハロウィンらしい曲。ニンテンドーのテトリスに使われているリフがそのまま採用されている。ゲームは楽しい。でも度を過ぎると結局自分に付けが回る。だから、やりすぎは問題だぜ!そんな示唆を与えてくれている。

9.TAKE ME HOME

明るくパワフルで、ノリの良い曲。ビートが利いている。アメリカンな雰囲気がある。歌詞の内容は、人との触れ合いがない状態でいる事を気にしているというもの。もっと会話を求め、自分の居場所を探そうぜ!と。これは、7曲目の“THE GAME IS ON”とも合い通じる歌詞である。

現代人の抱える問題の一つとして、他人との触れ合いがないことがしばしば論じられる。ハロウィンは、この当時(1994年)からヒキコモリなどの問題を予見していたのかも知れない。彼等がファンタジーでありつつも、社会派とも呼ばれる由縁である。だが、辛気臭くない楽曲、パワフルなヴォーカルであり、学者や宗教家にはできない警鐘を鳴らしている。野性の本能を呼び覚ます事が何より大切である。

13.GRAPOWSKI’S MALMSUITE1001

元の曲は、日本公演の際、マイケル・キスクの息継ぎのためのつなぎである。インスト曲だが、様式美が好きな方は聴いてください。


The Time Of The Oath

1.WE BURN

メロディックパワーメタル。ハロウィンらしい。早い曲。エネルギッシュな曲。

5.FOREVER AND ONE(NEVERLAND)

バラード。サビの部分に演歌的なメロディが含まれている。

7.A MILLION TO ONE

Drのウリ・カッシュの曲。子供が生まれたので、歌詞をデリスに依頼した。デリスは、教示する。子供のためにしてあげられる事はせいぜい15歳くらいまで。その後は自分次第だ。どう生き残るかを良いアドバイスをあげたい。100万分の一の確率でお前は駄目になるだろう。誰にでもチャンスはあるが、良き人になれるのは一握りだという。

楽曲としては、Aメロのギターアルペジオに宇宙空間へ散らばる星々のイメージが喚起される。ジャケット中に、そんな絵があるためだろうが、美しい旋律が含まれている。ギターソロは、ゲームのようなメロディで気持ちが良い。

11.IF I KNEW

失恋を歌ったバラード。楽曲にもその悲しみが表れている。ソロ部分に、多少演歌性を感じさせる。失恋の曲であり、悲しいながらも盛り上がるナンバー。ここも演歌的と言えなくもない。

12.TIME OF THE OATH

ゴシック的な戦慄を起こさせるようなナンバー。

14.TAKE IT TO THE LIMIT

ボーナストラック。カッシュの曲だが、ギターソロがサイケデリックである。まるでスイスの上空を駆け巡るような、遠い記憶に思いを馳せるような…、そんな気持ちにさせてくれる。

                                2005年 akira




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