アーティスト特集 第3弾 ハロウィン

第七回

ハロウィン
『Keeper Of The Seven Keys: The Legacy』




ハロウィンには、かねてより、“守護神伝”を継承する作品をリリースするという噂があった。それは20056月になり、初めて確定した。先行シングル『Mrs.God』は、74日に東南アジアでリリースされ、追って95日に世界的に発売された。それに次いで1031日に、2枚組アルバム『The Keeper of The Seven Keys:The Legacy』が世界的に発売された。

同時に、スチームハンマー/SPVは、ハロウィンとの契約を誇らしげに伝えた。“The Legacy”のリリースの際である。新たな共同作業の始まりである。20年前のバンドとSPVとの作業で二つのゴールド賞受賞以来の事だ。

『守護神伝12章』は、ドイツ国内のみで、25万枚を売り上げたアルバムである。この2枚により彼等は世界的な高みへと飛翔した。約20年ほど前の事である。ジャーマンメタルの名、ジャンルを普及させたのもこれらの作品の功績だ。その名を引き継ぐ…。どれだけの重みと責務を担っているかが容易に理解できるであろう。

オリジナルアルバムの伝説的なステータスを鑑みれば、これは簡単な仕事ではなかった。「俺達は恐れていた…。」デリスは打ち明ける。「俺達は確かに肩にのしかかかる重さが分かっていた。このできあがった作品が、守護神伝の名前に値するものなのか…。決定するのに一年はかかったよ。決定したのは、最終的なミックスの3週間前だ。それは守護神伝3章という意味での方向性ではなかった。だから、“The Legacy(遺産)”と名付けたんだ。確かにシンガーもギターチームもチェンジしている。だけど、ギタリスト達も素晴らしいし、多かれ少なかれ、守護神伝1,2章と同じヴァイブレーション、マジックでツイン・ソロをしているんだ。」

ニューアルバムでは、ラインナップにも変化をもたらしていた。ドラマーのダニー・ルブレがステファン・シュヴァツルマンに取って変わられたのである。「悲しい決定だったよ。プリ・プロダクションの終わりに近づいた頃、ステファンがバンドミーティングを持ちたいと言って来たんだ。何曲かをプレイする事ができないとね。彼は、丁重な面持ちで話してくれた。ハロウィンのメンバーの音楽的なヴィジョンを制限するより、自分が去った方が良いとね。俺達は、ダニとコンタクトを取ったよ。彼が、Rawhead Rexで叩いてるのを知っていたのさ。彼のプレイは、インゴ(注)のプレイを多分に思い起こさせるんだ。だから、この作品にはパーフェクトだと考えたわけさ。」

バンドは、マイケル・キスク(.)、ガンマ・レイのカイ・ハンセン()The Legacyへの参加依頼も考えていた。「マイケルに一曲歌ってもらう事も考えた。だけど、彼がプレスにヘヴィ・メタルへの嫌悪を語った後だったので、アルバム参加はない方がいいだろうと判断したんだ。」カイに関しては、「バカな事をしてしまった。全てが終わった後に、カイに、いくつかソロを弾いてもらうのを忘れてた事に気付いた。」デリスは語った。

ダブルアルバム“The Legacy”のできについて、デリスは語る。「俺は自信を持って、最初の世代のファンでさえも愛好してくれると言い切れる。」と。ここまで自信作と本人達がいうアルバムはそれほど多くはないだろう。過去のエッセンスの集約という点からも、ハロウィン初心者が聴くにも適したアルバムである。


(注1)インゴ・シュヴィヒテンバーグ…故人。元ハロウィンのドラマー。解雇されて後、列車自殺した。

2)マイケル・キスク…元ハロウィンのヴォーカリスト。守護神伝を歌唱していた時はまだ10代。この年齢での歌唱力の高さには目を瞠るものがあった。レンジも広い。故に、ヴォーカリストの方は必聴である。現在彼は、メタルにはきっぱり区切りをつけ、ポップミュージックで活躍しているようだ。

(注3)カイ・ハンセン…元ハロウィンのヴォーカリスト&ギタリスト。マイケル・キスク参加後には、ギターに専心。実は、ハロウィンを立ち上げた中心的人物であった。


楽曲解説

Keeper of The Seven Keys :The Legacy

今作の制作では、マーカス(B)が一番燃えていた。使命感に駆られていたと言っても良い。そのせいかベースの活躍が目立つ(耳立つ)。ベースマニアにも必聴なアルバムである。

特に複雑なアレンジメント、テンポチェンジの多用…、プログレッシヴな方向性が窺える作品に仕上がっている。

2枚目の「Light the Universe」では、ブラックモアズ・ナイトからキャンディス・ナイトとのデュエットが実現している。余談だが、キャンディスは、ブロードウェイなどでも活躍しているという。


DISC1

1.The King For A 1000 Years

いきなり14分弱の大曲。元々ハロウィンには、プログレ的な面も備わっていたが、14分もあるだけあり、展開も目まぐるしい曲である。テンポ・チェンジも多い。

まず特筆すべきは、サビの部分だ。美しさを伴った感動的なメロディである。メロディック・パワー・メタルである。

8分を過ぎた辺りで展開される短いパートは極めつけに美しい。ストリングスの上に、アコースティックっぽさを感じさせるアルペジオ、余りにも美しいギターメロディ。サシャによるものだ。その後に、魔王が光臨したが如き、重圧感のあるパートが展開される。

2.The Invisible Man

この曲も7分もある。まずイントロが良い。非常に重い音に、リードギターが入ってくる。

3分を過ぎた頃に展開されるパートが実に素晴らしい。サイケデリックである。解説すると、霧がかった世界に誘い込むようなピアノ、ストリングス、ベース(このベースがとても大切)を土台に、ファンタスティックなギターソロが入る。ベース音がなければ、単に異世界の森のヴィジョンが惹起されるだけであろう。だが、このベースにより、SF的なニュアンスをも含有させ得ている。

近い雰囲気としては、映画スターウォーズでの惑星タトゥーインの衛星エンドアがそれだ。

アウトロのベースもいい。

3.Born On Judgment Day

メロディック・スピード・メタルしている。イントロから早いギターソロ。

5.Mrs.God

先行シングルで発売された曲。3分弱の短いナンバー。ギターソロのパートのリズムギターが良いノリである。その後短いベースソロに、20年のキャリアを感じさせる。非常に気持ち良い。


DISC2

1.Occasion Avenue

これまた一曲目から11分に渡る大曲である。曲の初めにLegacy(遺産)を感じさせるべく守護神伝1,2章の回想がなされている。

2.Light The Universe

ここではキャンディスナイトとのデュエットをしている。

3.Do You Know What You Are Fighting For

イントロが、レッドツェペリンとジューダスプリーストを混ぜたような感覚がある。アイアンメイデン的な雰囲気もある。リズミカルなドラムのビートも心地良い。サビの後の、ギターリフが心地良い。ツェペリン的な。古典的な感覚を漂わせるナンバーである。

8.Revolution(Bonus Track)

マーカスの曲。5分ほどの曲だが、テンポチェンジがある。パワフルなオーソドクスナンバー。

                               20062月 akira




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