| アーティスト特集 第1弾 ブラック・サバス 第十二回
『クロス・パーパシス(CROSS PURPOSES)』は1994年にリリースされた。メンバーは、トニー・マーティン(Vo.)、ギーザー・バトラー(B)、ボビー・ロンディネリ(Dr.)である。ボビーは、元RAINBOWという経歴を持つ。 前回の『ディヒューマナイザー(DEHUMANIZER)』は、ロニーとギーザーが再び相見えるところに意義が置かれ、マーティンは一方的に切られてしまう。そして、今回の『クロス・パーパシス(CROSS PURPOSES)』においても、そうした傾向があった。というのもこの時期、オジーを迎えたブラック・サバス再結成の計画があったのだ。トニー・マーティンはうまく行かなかった時の滑り止め…的に扱われた面も否めない。 リユニオンが実現されていた場合、このアルバムはブラック・サバス以外の名義で上梓されていたという。 制作 制作の上での問題としては、マネージメントのトラブルが起こった。ギーザーのマネージャーでもある彼の奥さんが問題となった。ブラックサバスは既にアイオミのバンドであるのに、彼女がし切ろうとした。このアルバムと同時期に制作されていたブラック・サバスへのトリビュート・アルバム『NATIVITY IN BLACK』の進行をアイオミが把握していないという事態も起こった。 例えば、「魔法使い(THE WIZARD)」の制作当のアイオミだけが知らないという事態が発生した。また、彼女が手掛けているバンドをトリビュートに起用しなければ、サバスのアルバムの制作を認めないとまで言った。 筋の通らぬ事態に、やむなくアイオミはギーザーの奥さんに首を言い渡した。だが、これは26年来のギーザーとの仲に傷をもたらしたのも事実であった。 音楽性 音造りとしては、『TYR』などで重点が置かれたディレイ、リバーブが、若干抑えられた造りとなっている。アイオミ曰く、「生々しい音にしたかった…」と。 音楽性を解説すれば、『HEADLESS CROSS』『TYR』で確立した様式美を保ちつつも、本来のアイオミのスタイルであるブルースを主体としたアグレッシヴなヘヴィ・ロックも展開されている。 楽曲解説 「WITNESS」。ノリの良いビートで始まる曲だ。そこに熱いコブシ系のマーティンが入り、ROCK’N ROLL WORLDを展開してくれる。 「BACK TO EDEN」。バラード調のイントロに始まる。途中でノリの良い、ミディアムテンポのリズムと小気味良いリフが展開される。 「the hand that rocks the cradle」。様式美的な音、曲の展開がなされている。ミディアムテンポと丁度合う。 「EVIL EYE」。ノリの良い曲で終焉を迎える。 トリビュートアルバム トリビュートアルバム『NATIVITY IN BLACK』。同年にリリースされる。このアルバムで瞠目すべきは、メタル界の古株や新進気鋭達によって捧げられている点であろう。また、メタル界の名士達による寄稿もされている。 注目すべき楽曲を解説してみよう。 「魔法使い(THE WIZARD)」。ロブ・ハルフォードがVo.を勤めている。Bはギーザー、Dsはビルである。ロブもまた、ブラック・サバスが史上初のヘヴィ・メタル・バンドであると述べる。 「血まみれの安息日(SABBATH BLOODY SABBATH)」。ブルース・ディキンソンがゴッド・スピードと共演をしている。ディキンソンのヴォーカルは、オジーのそれと較べ、熱く、激しい。一聴に値する出来映えである。 「IRON MAN」。オジーがセラピー?と共演。 楽曲は全てオジー時代のものである。そして、これらの曲を聴いて思うのは、現代的なサウンドで蘇る過去の名曲群は、現代においても些かも色褪せるものではないという事だ。寧ろ現代の似たり寄ったりのバンドに飽きた人には、却って刺激のある作品かも知れない。
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