| アーティスト特集 第1弾 ブラック・サバス 第四回 こうして5thアルバム『血まみれの安息日(sabbath bloody sabbath)』が1973年12月にリリースされる。この作品の特徴はシンセサイザーやストリングスが導入された事である。イエスのリック・ウェイクマンがゲストプレイヤーに迎えられた。人によってはナザレスやELP的な雰囲気を想起させる作品だったかも知れない。 この作品の有名なプロモーションビデオでは、彼等は重いコートを着てウェールズの深い森へと迷い込む。陶酔、超現実の忘我の状態で佇むメンバー達。徘徊するオジー、彷徨するビル、神秘的な様相を呈すギーザー、十字を目に写すトニー。 曲目として、第一曲目「血まみれの安息日(sabbath bloody sabbath)」。これはアンスラックスもカバーしているが、イントロのソリッドなギターの出だしが印象的だ。傾聴に値するリフ。そしてサビのアコースティックギター・フィル・インがヘヴィなリフの応酬の中に、一際澄んだジャジーな潤いを与えている。ブルース・ディキンソンも熱くカバーしている。 「フラッフ(fluff)」。恒例になってしまったアコースティック曲。ライブではヘヴィな曲目の中に可憐に咲く一輪の花の如き役割を担っていた。「おまえは誰だ!!(who are you)」にてもシンセが目立つ。「ルックング・フォー・トゥデイ(looking for today)」では 3rdアルバムで見せたようにアイオミがフルートを吹いている。 「サブラカダブラ(sabbra cadabra)」にてリック・ウェイクマンがピアノとシンセサイザーにゲスト参加している。異世界を感じさせるイントロのギターメロディである。歌詞がサバスでは非常に珍しくmake loveについてだ。これについては面白い逸話がある。ライブツアーでギグを終えてホテルの部屋で寝ていると女達がのべつまくなく部屋に入りこんできて事を済ますのが茶飯事であった。一時間に3人。朝目を覚ますと知らない女達がベッドに寝ていて、既に結婚していたオジーは不快感と罪悪感に陥ったものだと述懐している。 だが、上には上がいるもので、それまで自分達は凄い!と思っていた彼等だが、キッスとツアーをした時には負けを認めざるを得なかった。同じホテルに泊まった時などシモンズの部屋の前にゴージャスな女の子達が列をつくり、入れかわり立ちかわり部屋に入っていくのだった。ジーン・シモンズとポール・スタンレーが今も自分の脚で歩いているのが不思議だとオジーは笑う。 この頃、サバスはレッド・ツェペリンと同様に米国で成功を収めたバンドに対する酷評を売りにした評論家の攻撃を受けていた。だが彼等は無視を決め込む。何故なら既に米国ロックの殿堂マディソン・スクエア・ガーデンを完全ソールドアウト、西はハリウッドボウルすらも満席にさせていたからである。米国では初めサバスを音がでかい事で知られたグランド・ファンク・レイルロードの模倣と認識していた。サバスも相当音がでかかったためだ。 『血まみれの安息日』から二年近くのインターバルを置いて『サボタージュ(sabotage)』が発表された。1975年9月の事である。この時期は、エアロスミス、キッス、ブルー・オイスター・カルトに代表されるアメリカン・ハードロック勢が隆盛を誇り、英国においてはパンクムーブメントが勃興していた。こうした苦戦の中で、ブラックサバスはクラシックとの融合を試みたりと、音の主導権を握るアイオミの旺盛な実験精神が窺える。常に新しいものを目指したアイオミの苦悩であろう。そしてサウンドにおいても、人間関係においてもオジーとアイオミの確執が現れてきたのもこの時期なのであった。 曲目紹介をする。一曲目の「ホール・イン・ザ・スカイ(hole in the sky)」。ライブではこの曲から始まる事が多かったという。「悪魔のしるし(symptom of the universe)」は、後半のアコースティックがなければ世界初のスラッシュだと主張する人もいる。個人的には、スラッシュ部分もさる事ながら後半部分の全てのパートや歌詞全体が良いと感じる。「スリル・オブ・イット・オール(thrill of it)」や「リット(the writ)」などの大曲もある。そして「発狂(am I going insane)」。これは体験に基づくものであり麻薬によって自分は正気を保っていられるか?という話である。逸話を挿入しよう。 ある時、オジーはメスカリンを 2錠、アシッドを4錠、大量のマッシュ、コークを 8グラム、テキーラを一本一緒に飲んだらわけがわからなくなってしまった。自分がどこの星にいるのかも分からない。そういう思いを歌に込められている。カート・コバーンは自殺してしまったが、オジーも同じ事を何度も考えたという。サバスはセックスへの耽溺よりも麻薬への依存の方が強かった。(逆にジーン・シモンズは全く正反対の考えの人間である。酒も麻薬も一切しない) これだけの重度麻薬依存者が現在でも一線を退いていないことは全くの驚異である。 この作品以降、サバス内での不和が表面化してくるのである…。 2005年 1月 akira → Next 「第五回 ブラックサバス 7th 8th アルバム時期」 ← Back 「第三回 ブラックサバス 3rdアルバム、4thアルバム時期」 へ |
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