アーティスト特集 第1弾 ブラック・サバス

第十四回(最終回)

ブラックサバス『REUNION』(再結成)期



1997年に、オリジナル・ブラック・サバスが、彼等の出身地であるイギリスのバーミンガムにて再結成された。オリジナル・ブラック・サバスとは言うまでもなく、オジー・オズボーン(Vo.)、ギーザー・バトラー(B)、ビル・ウォード(Ds.)、そしてトニー・アイオミ(G)達の事である。

この再結成ライブの成果は、翌年1998年にリリースされたアルバム『リユニオン(REUNION)』に結実する。ライブ音源に加えて、2曲の新曲が書き下ろされている。


前回メンバーの不幸


『フォービドゥン(FORBIDDEN)』制作の後に、ドラマーのコージー・パウエルがバイク事故により、他界した。公私共に友人であったアイオミは、大変に悲しい思いをした。他界する少し前に、彼と食事する機会があったのがせめてもの救いだったと語る。

その頃、コージーは、ピーター・グリーンやイングヴェイ・マルムスティーンとの仕事などで多忙を極めていた。


再結成に当たっての意気込み


この再結成ギグは、全世界に放映されるビッグ・イベントだった。そのため、失敗は許されない。ライヴを目前にして、ビル・ウォード氏の体調が懸念されていた。最初にリハーサルが行われた時は、明らかにオーバーウェイト気味であった。アイスクリームの食べ過ぎが原因だったという…。だが、その後、運動も実行し、体調も向上し、十分なやる気を取り戻した状態でライヴに望む事ができた。


演奏された楽曲


当然の事ながら、オジー在籍時のメジャーな名曲群を中心に演奏された。同時に意表を突く選曲もなされた。「スパイラル・アーキテクト」「ダーティ・ウィミン」などである。この試みは成功であった。これらの選曲は、観客をハッと驚かせ、ステージからの眺めは最高だったとアイオミ氏は語る。(因みに、「スパイラル・アーキテクト」は70年代にも数回しかライヴ演奏がなされなかったシロモノである!)

演奏能力が格段に増した彼等が往年の曲を演じるのはやはり見物である。ギターの歪みや、ベース、ドラムの小気味良いリズムは聴いていて心地よい。オジーの歌い回しは、70年代のものと異なり、ソロ・ワークでのオジーの歌い回しである。ソロでの活動で、彼独自のメロディを育て上げたようだ。テクニックを批判する考え方は未だにあるが、腕は矢張り高い方がいい。

余談であり、著者独自の意見だが、オジーのボーカルは、ジャニス・ジョプリンに似てやしまいか?筆者には、聴いているとオジーとジャニスがダブって聞こえるのである。


新曲解説


素晴らしい事に、アルバムには2曲の新曲が追加されている。解説しよう。

「サイコマン」。スロー・テンポであり、暗さが漂うドゥーム・ロック。雰囲気的には、情景で例えると、夕闇に映えるドラキュラの城といったものである。中盤から、テンポが上がり、リフのブラック・サバスを展開している。

「セリング マイ ソウル」。これもまた、テンポを押し殺したドゥームな曲である。


元々、トニー・アイオミが持っていたリフのアイデアにオジーがメロディを乗せて行くという往年の作曲法を採用している。2曲とも、黄金期サバスの楽曲群にも違和感はない曲である。

作詞は、70年代はギーザー・バトラーが大半を手掛けていた。今回は、オジーが手掛けている。タイトルから判断すれば、ファンには一目瞭然であろう。オジーは、ソロ・ワークを通して作詞もできるようになった。今回、他のメンバーは、オジーの作詞に手直しを加えた程度だった。


ブラック・サバスは未だに存続中のバンドであり、オズフェストでのオリジナル・ラインナップが存続するのか?それともアイオミ主導のプロジェクトが続くのかと彼等の動向からは目を離せない。


総論・ブラック・サバスとは何だったのか?


ブラック・サバスは、史上発のヘヴィ・メタル・バンドの一つである事は間違いないだろう。それは、後に続いたヘヴィ・メタル・バンド達にも共通の認識である。(例えば、ジューダス・プリーストなど)

ヘヴィ・メタルのルーツであるバンドには、他にディープ・パープル、レッド・ツェペリンなどが挙がるだろう。この二つのバンドの後世への影響は言うまでもないが、HM(ヘヴィ・メタル)というより、HR(ハード・ロック)的色彩が濃い。HMが独自の世界観を築いているのに対して、HRは、ブルース・ロック色が強いように思う。つまり、70年代以前のロックが、同様のコード進行、メロディラインの上に、ハードさが加わったヴァージョンがHRであると思う。


これに反して、ブラック・サバスは、ブルース的なコード、スケールを用いつつも、展開の仕方が違う。メロディの配列が根本的に違うのである。

HMというと皆さんが思い浮かべるのはどういうものだろう?戦慄、畏怖、神々しさ、宗教的メロディ、ファンタジー、禍禍しさ、悪魔的でカッコ良いメロディ。メロディに関してはそういうものが枢要である。(同様の事が歌詞の世界観にも言える)メロディのカッコ良さの質は、抽象的なものであるため、言葉で表現するのは難しいがお分かりいただけるだろうか?

例えば、ブルースもカッコイイが、ブルースのメロディのカッコ良さと、メタルのメロディのカッコ良さの種類は違う。

ブラック・サバスは音楽史上初めて、そうしたメタル的な種類のメロディ(また歌詞の世界観も)を作り上げたバンドのように思えるのである。


彼等のしてきた事は、現在あるメタルの原型になっている。いくつもの原型を作り上げた。例えば、癒し系とメタルの融合などは最近は多いが、70年代の彼等の曲に既にその萌芽は見られる。パラノイドなどは、メタルの基礎であろうし、80年代にロニー・J・ディオによりもたらされた様式美などもメタル界の基準の一つである。(もっとも様式美はリッチー・ブラックモア抜きには語れないが。)途中で展開が変わる曲も多いのは、プログレ的でもある。

そういう意味で、ブラック・サバスはメタル界の手塚治虫とも呼ぶのは妥当であろう。手塚治虫は、漫画が隆盛する礎石となった人物である。戦後漫画界の創始者的役割を担いながらも、道なき道を開拓し尽くしてしまった人物だ。現存の漫画界には、様々なカテゴリーがある。手塚治虫は勃興の祖にして、その大半のカテゴリーを手掛けてしまっている。筆者には、ブラック・サバスにもそうした特色が見られるように思えるのだ。読者の皆さんはどう思うだろう?


以上、上に記した根拠に基づいて、ブラック・サバスこそが真のメタルの祖であり、偉大なマスターなのであるという主張にて擱筆する事とする。

                                                        ブラック・サバス編 完


余談

皆さんはエリア51という名前を聞いた事があるだろうか?ギーザー・バトラー氏は、オカルト・マニアである事でも名高いが、息子さんが大のUFOマニアであるという。その影響を受けて、この時期に、アメリカはネバダ州にあるエリア51と呼ばれる地域を車で赴き、探索したそうだ。(本当はご自分が好きなのではありませんか?と思わず突っ込みを入れたくならない事もない)

エリア51は、非公式の米軍軍事地下基地であり、その辺りには正体不明の怪光が空に現れる。それがUFOである事が噂され、周辺の街は、UFOを観光客引き寄せの道具に使っている程である。地下基地には宇宙人が人間と協力して、研究をしているという噂もある。同じ数字の背番号を持つ、シアトル・マリナーズの大リーガー、イチローも名前程度は聞いた事があるそうだ。

ギーザー親子は、基地周辺をうろついていたところ、マシンガンを持った軍人が12名ほど現れたため、命からがら逃げ帰ったそうである。何かあるのは事実なのだろう。皆さんもラスベガスでロック三昧の後に、立ち寄ってみていかがだろうか?


                               20056月 akira


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